1. 1. 日本語教育と文法
1.1. 日本語教育における文法の指導
1.1.1. 「言語直感」とは
1.1.1.1. ある文に接した時に自然か不自然を理屈 抜きで判断できる能力。その言語の母語 話者であればだれでも持っている能力。
1.2. 誤用の2つのレベル
1.2.1. 日本語の形として正しくない文のこと
1.2.1.1. 「文法的ではない文」
1.2.1.2. 「非文法的な文」
1.2.2. 日本語の形として正しいけれども「失礼 に当たる」または「使う状況が思い浮か ばない」といった文のこと
1.2.2.1. 「文法的であるが、容認可能性が低い文」
1.2.3. 日本語として絶対正しくない文
1.2.3.1. 文法性の問題あり
1.2.4. 日本語としておかしくはないけれど、 なんだか座りの悪い文
1.2.4.1. 容認可能性の問題あり
1.3. ポイントチェック
1.3.1. 学習者の誤用には、2つのレベルがある。「犬がソファを寝っています」のよう に、日本語として形が正しくないものを「非文法的な文」という。これに対し て、「先生もパーティーに行くつもりですか」のように、形は正しいが「失礼に あたる」とか「使える状況が思い浮かばない」といったものを、「容認可能性低 い文」と言う。前者については、その文が正しくない理由を文法的に説明する必 要がある。後者については、その文が使える状況と使えない状況とを説明する必 要がある。
2. 2. 動詞
2.1. 辞書形とマス形
2.1.1. 「辞書形」とは
2.1.1.1. 動詞のウ段の文字で終わっている形
2.1.2. 動詞活用のグループ分類
2.1.2.1. Ⅰグループ
2.1.2.1.1. 「る」以外で終わる動詞
2.1.2.1.2. 「あ段+ない」
2.1.2.2. Ⅱグループ
2.1.2.2.1. 「い段+ない」
2.1.2.2.2. 「え段+ない」
2.1.2.3. Ⅲグループ
2.1.2.3.1. 「来る」
2.1.2.3.2. 「する」
2.1.3. 「辞書形→マス形」のルール
2.1.3.1. Ⅰグループ
2.1.3.1.1. 辞書形の語末のウ段の文字をイ段に変える
2.1.3.2. Ⅱグループ
2.1.3.2.1. 辞書形の語末の「る」を取る
2.1.3.3. Ⅲグループ
2.1.3.3.1. それぞれ異なる
2.1.4. 辞書形
2.1.4.1. 非過去肯定形+普通体
2.1.5. マス形
2.1.5.1. 非過去肯定形+丁寧体
2.2. テ形
2.2.1. 「辞書形→テ形」のルール
2.2.1.1. Ⅰグループ
2.2.1.1.1. 辞書形が「く」で終わる場合は「いて」にする
2.2.1.1.2. 辞書形が「ぐ」で終わる場合は「いで」にする
2.2.1.1.3. 辞書形が「う/つ/る」で終わる場合は「って」にする
2.2.1.1.4. 辞書形が「む/ぶ/ぬ」で終わる場合は「んで」にする
2.2.1.1.5. 辞書形が「す」で終わる場合は「して」にする
2.2.1.2. Ⅱグループ
2.2.1.2.1. 辞書形の語末の「る」を「て」にする
2.2.1.3. Ⅲグループ
2.2.1.3.1. それぞれ次のようになる
2.2.1.4. 例外
2.2.1.4.1. 頻出★
2.2.1.4.2. 問う
2.2.1.4.3. 乞う
2.3. タ形
2.3.1. 「辞書形→タ形」のルール
2.3.1.1. ※→テ形のルールに同じ
2.4. ナイ形
2.4.1. 「辞書形→ナイ形」のルール
2.4.1.1. Ⅰグループ
2.4.1.1.1. 辞書形の語末のウ段の文字をア段に変える
2.4.1.2. Ⅱグループ
2.4.1.2.1. 辞書形の語末の「る」を取る
2.4.1.3. Ⅲグループ
2.4.1.3.1. それぞれ次のようになる
2.5. バ形
2.5.1. 「辞書形→バ形」のルール
2.5.1.1. Ⅰグループ
2.5.1.1.1. 辞書形の語末のウ段の文字をエ段に変えて「ば」を付ける
2.5.1.2. Ⅱグループ
2.5.1.2.1. 辞書形の語末の「る」を「れば」に変える
2.5.1.3. Ⅲグループ
2.5.1.3.1. それぞれ次のようになる
2.6. 意向形
2.6.1. 「意向形」とは
2.6.1.1. 未然形および五段動詞のオ段を使う活用形のこと
2.6.1.1.1. 例
2.6.2. 「辞書形→意向形」のルール
2.6.2.1. Ⅰグループ
2.6.2.1.1. 辞書形の語末のウ段の文字をオ段に変えて「う」を付ける
2.6.2.2. Ⅱグループ
2.6.2.2.1. 辞書形の語末の「る」を「よう」に変える
2.6.2.3. Ⅲグループ
2.6.2.3.1. それぞれ次のようになる
2.7. ポイントチェック
2.7.1. 「動詞の辞書形」は、学校文法でいう「終止形」「連体形」と同じものを指し ている。日本語教育で「終止形」「連体形」を区別しない理由は、形が全く同じ だからである。主文末で使われる「辞書形」と「マス形」の使い分けには、文章 の種類、場面、話す相手などがかかわる。一方、文中では文法的な理由で辞書 形が選ばれることがある。「~ことができる」や「~前に」といった場合が、こ の例である。「辞書形」を「テ形」に変えるルールは、動詞のグループによって 異なる。初級レベルの動詞で、ルールの例外になる動詞は「行く」だけである。
3. 3. イ形容詞・ナ形容詞
3.1. 感情形容詞と属性形容詞
3.1.1. 「感情形容詞」とは
3.1.1.1. 「~がる」をつけることができるイ形容詞・ナ形容詞のこと
3.1.1.2. 誰かの感覚や感情を表している
3.1.2. 「属性形容詞」とは
3.1.2.1. 「~がる」が付けられないイ形容詞・ナ形容詞のこと
3.1.2.2. 物事の性質や様子を表している
3.2. イ形容詞
3.2.1. イ形容詞を持っている色を表す名詞
3.2.1.1. 赤
3.2.1.2. 青
3.2.1.3. 白
3.2.1.4. 黒
3.2.1.5. 茶色
3.2.1.6. 黄色
3.2.2. 色のセットが想定されている場合には名 詞が、そうでない場合には形容詞が使わ れる
3.2.2.1. 例
3.2.2.1.1. 夕日が赤かった
3.2.2.1.2. 信号が赤だ
3.3. ナ形容詞
3.3.1. 名詞とナ形容詞の違い
3.3.1.1. 言い切る
3.3.1.1.1. 名詞
3.3.1.1.2. ナ形容詞
3.3.1.2. 否定する
3.3.1.2.1. 名詞
3.3.1.2.2. な形容詞
3.3.1.3. 名詞を修飾する
3.3.1.3.1. 名詞
3.3.1.3.2. な形容詞
3.3.2. 例外
3.3.2.1. 「同じ」
3.4. ポイントチェック
3.4.1. 「イ形容詞」と「ナ形容詞」は、活用はまったく異なるが、意味には共通点が多 い。感情形容詞と属性形容詞という分類には、意味によって「イ形容詞」と「ナ 形容詞」を分類したものである。感情形容詞には、「がる」という接辞を付ける ことができる。一方、属性形容詞には、「がる」という接辞を付けることができ ない。「感情形容詞+がる」は、感情や感覚ではなく動作や行動を述べるもので ある。また、「~がる」が付くことにより、品詞が「イ形容詞」と「ナ形容詞」 から動詞に変わる。
4. 4. 名詞
4.1. はじめに
4.1.1. 名詞の指導とは
4.1.1.1. 「固有名詞」「代名詞」「普通名詞」の 文法的なふるまいには違いがない
4.2. 動作名詞
4.2.1. 「動作名詞(動名詞)」とは
4.2.1.1. 「する」を付けて動詞として用いられる名詞
4.2.1.2. 格助詞を伴って名詞として使われる
4.3. 場所名詞
4.3.1. 「場所名詞」とは
4.3.1.1. 「に(へ)行く/帰る/戻る/来る」といった移 動動詞をそのまま後続できる名詞
4.4. 形式名詞
4.4.1. 「形式名詞」とは
4.4.1.1. 「こと」のように、必ず修飾節を伴わな ければならない名詞
4.4.1.1.1. その他の形式名詞
4.4.2. 「実質名詞」とは
4.4.2.1. 形式名詞に対して、修飾語を伴わずに用 いることができる名詞
4.5. ポイントチェック
4.5.1. 名詞の下位分類のうち、日本語の文法を考える上で重用なものの1つに、動作名詞 がある。動作名詞の特徴は、「する」をつけて動詞として用いられるというもの である。「勉強」という動詞が勉強をするというように使われる場合は、「名詞 +助詞+動詞」という構造になる。「勉強する」と使われる場合は、動詞とな る。このほかに、形式名詞も重要である。形式名詞とは、「必ず修飾節を伴っ て用いられる名詞」のことを言う。形式名詞の指導に当たっては、それが使われ る一流のパターンを文型として取り上げ、それぞれ個別に指導することが多 い。
5. 5. 助詞
5.1. 格助詞と文型
5.1.1. 格助詞の指導とは
5.1.1.1. よく使われる動詞文の構文・文型 (必須補語による分類であり、副次補語への配慮はされていない)
5.1.1.1.1. 動詞が取る格助詞のパターン
5.1.1.2. 「とりたて助詞」
5.1.1.2.1. も
5.1.1.2.2. なんて
5.1.1.3. 「並立助詞」
5.1.1.3.1. と
5.1.1.3.2. や
5.1.1.3.3. とか
5.1.2. 場所を表す助詞「に」「で」
5.1.3. 終点を表す助詞「に」「へ」
5.1.4. 終点を表す助詞「に/へ」「まで」
5.1.5. 終点を表す助詞「を」「から」
5.1.6. 起点を表す助詞「を」「から」
5.1.7. 相手を表す助詞「と」「に」
5.1.8. 時を表す助詞「に」「Ф」
5.1.9. 時を表す助詞「に」「で」
5.2. とりたて助詞と文型
5.2.1. 「とりたて助詞」とは
5.2.1.1. 格助詞が作った文の骨格に肉付けをして 「文外の意味」を与える働きがある
5.2.1.2. 「も、でも、さえ、すら、まで、だけ、 のみ、ばかり、しか、こそ、など、なんか、 くらい、は」
5.2.2. 主題の「は」
5.2.2.1. 主題
5.2.2.2. 対照
5.2.3. 有題文と無題文
5.2.3.1. 存在文
5.2.3.1.1. 有題文
5.2.3.1.2. 無題文
5.2.4. 「疑問語+は」はNG
5.2.5. 否定の「は」
5.2.6. 対照の「は」
5.2.7. 並列の「も」
5.2.8. 程度の」「も」
5.2.9. 尺度を含意する「も」
6. 6. 指示語・疑問語
6.1. 指示語・疑問語の全体像
6.1.1. 指示語とは何か
6.1.1.1. 指示語=こそあど言葉
6.1.2. 疑問語とは何か
6.1.2.1. 初級で扱われる疑問語
6.1.2.1.1. 「どれ、どこ、どちら、どの、どんな、ど う、何、誰/どなた、いつ、どうして、いく つ、いくら
6.1.2.2. 譲歩語
6.1.2.2.1. 「疑問語+~ても」
6.2. 指示語の使い分け(1)
6.2.1. 「コ系」「ソ系」「ア系」のルール
6.2.1.1. 現場指示(1)融合型
6.2.1.1.1. 話し手と聞き手が同じ位置にいる場合に 使われる
6.2.1.2. 現場指示(2)対立型
6.2.1.2.1. 話し手と聞き手が異なる位置にいる場合 に使われる
6.2.1.3. 「文脈指示」
6.2.1.3.1. 話し手と聞き手の両方がそのものを知っ ているかどうか
6.3. 指示語の使い分け(2)
6.3.1. 品位・被修飾語による使い分け
6.3.1.1. 名詞の特徴
6.3.1.1.1. 後ろに助詞が来る指示語の品詞
6.3.1.2. 初級で扱われる指示語
6.4. 疑問語
6.4.1. 疑問語の使い分け
6.4.1.1. 主な疑問語
6.4.1.1.1. 「どれ、どこ、どちら、どの、どんな、 どう、何、誰/どなた、いつ、どうして、 いくつ、いくら」
6.4.2. 「どれ」「どちら」
6.4.2.1. 「どれ」
6.4.2.1.1. 3つ以上の事物から1つを選ぶ状況で使 われる
6.4.2.2. 「どちら」
6.4.2.2.1. 2つから1つを選ぶ状況で使われる
6.4.3. 「どの」「どんな」
6.4.3.1. 「どの」
6.4.3.1.1. 複数の選択肢の中から特定の事物を選び 出すときに使われる
6.4.3.2. 「どんな」
6.4.3.2.1. 事物の様子や状態を説明する時に使われ ます
6.4.4. 「何(なに)」と「何(なん)」
6.4.4.1. 「何」の用法
6.4.4.1.1. 単独の疑問ごとしての用法
6.4.4.1.2. ある語の一部としての用法
6.4.4.2. 「何」の詠み
6.4.4.2.1. 後ろにくる語が[t/d]で始まる場合は「な ん」と読む
6.4.4.2.2. 後ろにくる語が[t/d]以外で始まる場合は 「なに」と読む
6.4.4.2.3. イレギュラー
6.5. 文の形とコミュニケーション上の機能
6.5.1. 疑問文と質問
6.5.1.1. 疑問文
6.5.1.1.1. 平叙文、命令文などと同じ文のパターン にひとつ
6.5.1.2. 質問
6.5.1.2.1. 勧誘、依頼などと同じ行為のひとつ
6.5.2. 疑問文の作り方
6.5.2.1. 真偽疑問文 (Yes-No疑問文)
6.5.2.1.1. 平叙文の最後に「か」を付けるだけ
6.5.2.2. 疑問語疑問文 (WH疑問文)
6.5.2.2.1. 文の一部分を疑問語に置き換えて最後に 「か」を付けただけ
6.6. ポイントチェック
6.6.1. 指示語の用法は、現場指示と文脈指示の2つに大きく分けられる。現場指示の用法 は、さらに、「対立型」の用法と「融合型」の用法に分けられる。「対立型」の 特徴は、話し手と聞き手が異なる系の指示語を用いるというもので、ア系が用い られることはない。「融合型」の特徴は、話し手と利き手が同じ系の指示語を 用いるというものである。どれを使うかは、話し手・利き手と対象物の距離によ る。会話の中での文脈指示の用法で問題となるのは、ソ系とア系の対立である。 コ系が使われることはない。
7. 7. テンス・アスペクト・ヴォイス
7.1. テンス
7.1.1. テンスの指導で問題になること
7.1.1.1. ル形とタ形の使い分け
7.1.2. 静的述語と動的述語
7.1.2.1. 動的述語
7.1.2.1.1. 運動動詞
7.1.2.2. 静的述語
7.1.2.2.1. 状態動詞
7.1.3. 「一時点の描写」jと「恒常的な状態の描写」
7.1.3.1. 「高い」
7.1.3.1.1. 過去の一時点の描写
7.1.3.1.2. 恒常的な状態の描写
7.2. アスペクト
7.2.1. アスペクトの指導で問題になること
7.2.1.1. テイル形を使う状況と使わない/使えない 状況の選別
7.2.2. 「ている」
7.2.2.1. 動作の継続
7.2.2.1.1. 「ている」の基本手な用法
7.2.2.1.2. 「た」と言える人、言えない人
7.2.2.2. 職業、身分
7.2.2.2.1. 一緒に使われる名詞の意味や助詞の組み 合わせが異なる
7.2.2.3. 形容詞的用法
7.2.2.3.1. 形容詞的用法
7.2.3. 「ておく」「てある」
7.2.3.1. 「ておく」
7.2.3.1.1. 動作を表す
7.2.3.1.2. 準備
7.2.3.1.3. 放置
7.2.3.2. 「てある」
7.2.3.2.1. 状態を表す
7.2.3.2.2. バリエーションがない
7.3. ヴォイス
7.3.1. ヴォイスの指導で問題になること
7.3.1.1. 同じ状況を表す複数のの2つの文型があ る(能動文と受動文)。その使い分け
7.3.2. 例
7.3.2.1. 能動文
7.3.2.1.1. 「子どもが歩く」
7.3.3. 3つのヴォイス
7.3.3.1. 受身
7.3.3.1.1. 受身文の存在理由
7.3.3.2. 使役
7.3.3.2.1. 使役者と被使役者
7.3.3.2.2. 典型的な使役文
7.3.3.2.3. 使役文
7.3.3.2.4. 自分が行う動作について、それをしても いいかどうか許可を求めたり黙認したり してほしい時
7.3.3.2.5. その動作や行為に、第三者が何らかの形 でかかわっている場合
7.3.3.2.6. 動作や行為が、話し手にとって、うれし くないこと、よくないことだった場合
7.3.3.3. 可能
7.3.3.3.1. 可能動詞
7.4. ポイントチェック
7.4.1. 主文末におけるル形とタ形の使い分けには、その出来事が過去に起こったかどうかがかかわる。過去であれば、動的述語にも静的 述語にもタ形が使われる。但し、静的述語には例外的な場合がある。 「ている」には、いくつかの用法がある。「いまコーヒーを飲んでいます」といった場合の「ている」の用法を「動作の継続」と 言う。「吉田さんは結婚しています」といった用法を変化状態の継続と言う。変化状態の継続になるのは、「変化動詞+ている」 の場合である。「(さ)せる」は、学校文法で言えば使役を表す助動詞である。しかし、典型的な使役文として「(さ)せる」が使わ れることは少ない。
8. 8. 文末形式
8.1. はじめに
8.1.1. 「~ましょう」
8.1.1.1. 勧誘
8.1.1.2. 申し出
8.1.2. 「~してはいけません」
8.1.2.1. 規則の説明
8.1.2.2. 行為の禁止
8.2. 願望・意志
8.2.1. 「~たい」「ほしい」の活用
8.2.1.1. ~たい
8.2.1.1.1. 非過去・肯定
8.2.1.1.2. 非過去・否定
8.2.1.1.3. 過去・肯定
8.2.1.1.4. 過去・否定
8.2.1.1.5. 動詞を修飾
8.2.1.2. ほしい
8.2.1.2.1. 非過去・肯定
8.2.1.2.2. 非過去・否定
8.2.1.2.3. 過去・肯定
8.2.1.2.4. 過去・否定
8.2.1.2.5. 動詞を修飾
8.2.1.3. イ形容詞
8.2.1.3.1. 非過去・肯定
8.2.1.3.2. 非過去・否定
8.2.1.3.3. 過去・肯定
8.2.1.3.4. 過去・否定
8.2.1.3.5. 動詞を修飾
8.3. 依頼・命令
8.3.1. 「~て」
8.3.2. 「~ないで」
8.3.3. 「~てください」
8.3.4. 「~ないでください」
8.3.5. 「~てくださいませんか」
8.4. 勧誘・勧め
8.4.1. 「~ませんか」
8.4.2. 「~ましょう」
8.4.3. 「~た方がいい」
8.4.4. 「(よ)う」
8.5. 許可・義務
8.5.1. 「~てもいい」
8.5.2. 「~てはいけない」
8.5.3. 「~なければならない」
8.5.4. 「~なくてもいい」
8.6. ポイントチェック
8.6.1. 願望を表す表現に、「~たい」と「ほしい」がある。「~たい」は対照が動作の 場合に、「ほしい」は事物の場合に用いられる。両者に共通する特徴は、第3者の 願望を表すことができないというものである。そのような場合は、「ちょっと休 みたいそうです」という伝聞や、「ほしいかもしれない」という推量の形で言う のが適切である。 「~てください」は、日本語教育では依頼を表す表現の代表的なものとして扱わ れる。しかし、実際には「医者と患者」「警備員と通行人」といったように指示 をする側とされる側がはっきり決まって いる関係で使われることが多い。 「~てもいいですか」は、許可を尋ねる表現である。このように尋ねられた場合、 法律や規則など一般的な事柄につい てであれば、「はい、~てもいいです」と答えてもよいが、個別的、個人的なレ ベルでの許可の場合にこのように答えるのは失礼になる。
9. 9. 複文(1) 時間的な順序関係、並列する動作
9.1. 時間的な順序関係
9.1.1. 「~てから」
9.1.1.1. 時間的に順番に起こる動作や出来事を 表します(継起の用法)
9.1.2. 「~て」
9.1.2.1. 用法
9.1.2.1.1. 継起
9.1.2.1.2. 並列
9.1.2.1.3. 手段
9.1.2.1.4. 理由
9.1.3. 誤用「~てから、~てから・・・」
9.1.3.1. 改善
9.1.3.1.1. 「~た後で」+「~てから」
9.1.4. 「~前に」
9.1.5. 「~とき」
9.1.6. 「~ながら」
9.1.7. 「~たまま」
9.2. 並列する動作
9.2.1. 「~たり~たり」
9.2.2. 「~し」
9.2.3. 「~ないで」「~なくて」
9.3. キーワード
9.3.1. 相対テンス
9.3.1.1. 主節の時点から見て過去かどうかによっ て、ル形・タ形が決まること
9.3.2. 絶対テンス
9.3.2.1. 今(発話時点)から見て過去かどうかによっ て、ル形・タ形が決まること
9.3.3. 含意
9.3.3.1. 利き手に解釈される意味のこと
9.4. ポイントチェック
9.4.1. 「~てから」と「~た後で」には、どちらも「(前件)をする。それから(後件)をす る」という共通点がある。両者の違いは2つある。1つは、「(前件)と(後件)の順序が 入れ換えられない場合には、「~た後で」は使えない」というものである。例 えば、「シャツを洗った後で干します」が不適切なのはその例である。もう1つは (前件)と(後件)が「(前件)のあと、ずっと(後件)という関係にある場合には、「~た後 で」は使えないというものである。「日本に来た後で国に帰っていません」が不 適切なのはその例である。 「~し」は、「(前件)と(後件)に対する話し手の評価」を含意する。そして、(前件) と(後件)の組み合わせにも、(前件)が「肯定的な評価」なら、(後件)も「肯定的な評価」 でなければならない。あるいは、(前件)が「否定的 な評価」なら、(後件)も「否定的な評価」でなければならないという制限がある。 「~ないで」と「~なくて」は、どちらも(前件)なしで(後件)ちう意味を持つ。こ のうち、名詞、イ・ナ形容詞、動詞のすべての品詞と共に使えるのは、「~なく て」である。
10. 10. 複文(2) 理由、条件
10.1. 理由
10.1.1. 「~ので」「~から」
10.1.1.1. 〇「だろうから」「でしょうから」 ✖「だろうので」「でしょうので」
10.1.1.2. 〇「からです」「からだ」 ✖「のでです」「のでだ」
10.1.1.3. 形の誤り、失礼な誤り
10.1.1.3.1. 丁寧な話し方をしなければいけない相手に、許可を求めたり、依頼をしたりとい った状況で「~から」を使うと、文法的には決して間違いではないが、当然の権 利を主張しているようで、失礼に感じられる。「~ので」のほうが丁寧で、適 切。
10.1.1.4. 理由を表さない「~ので」「~から」
10.1.1.5. 「~ために」
10.1.1.6. 「~て」
10.2. 条件
10.2.1. 条件を表す複文とは
10.2.1.1. 順接
10.2.1.1.1. (前件)→(後件)
10.2.1.2. 逆接
10.2.1.2.1. (後件)→(前件)
10.2.2. 過去には「~たら」
10.2.3. 過去の習慣には「~たら」「~と」「~ば」
10.3. ポイントチェック
10.3.1. 「~から」と「~ので」は、どちらも理由を表す。形の制限が少なく使いやすい のは「~から」である。しかし、目上の人に丁寧に依頼する場合などは、「~の で」を使わないと失礼に聞こえる。「~て」も理由を表すことができる。ただし 後件が話し手の意志によって決められる動作には使えないという制限がある。 「バスがなかなか来なくて、タクシーで行きませんか」が不適切なのは、このた めである。「~たら」「~ば」「~と」の中で、もっとも使用範囲が広いのは 「~たら」であr。しかし、過去の出来事で後件が自分の意志でコントロールで きる場合は、「~たら」を使うことはできない。